兵庫県でキッチンカーを開業したい人必見|営業許可要件

行政書士長尾真由子事務所 営業許可 兵庫県

前回の記事では、兵庫県の保健所は何か所あって、どこでキッチンカーの営業許可の申請を行えばよいのかをお話しました。

 

今回は、許可要件、つまりどのようなキッチンカーであれば許可を取得できるのか、その条件についてお話していきます。

|兵庫県のキッチンカーの施設基準

今回は、神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市以外の兵庫県の市区町村で、キッチンカーの営業許可を取得するためのキッチンカーの施設基準、つまりどのような設備をキッチンに備えればよいのかを説明します。

 

神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市も同じ兵庫県の条例に基づいて営業許可を出していますので、許可要件や施設基準は基本的に同じです。ですが、運用の仕方が違うかもしれないということでしたので、やはり、ご自分がキッチンカーを始めたり、新しい営業先を開拓しようとする際には、営業場所を管轄する保健所に出向いて、事前相談を行うことが大切です。

 

この記事では、兵庫県のホームページからPDFで入手できる「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」を熟読した行政書士が、キッチンカーに必要な部分を分かりやすく書き起こしていきます。兵庫県は大阪府のように、施設基準を表などにして分かりやすくした資料は出していないということでしたので、「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」を読んでキッチンカーの営業許可を取得するしかありませんが、表現が硬く読みづらいと思います。

 

先にも書きましたが、個別具体的な相談は、管轄の保健所にしていただくとして、その前の参考資料としてご活用いただければ幸いです。

 

また、この記事では、上記のPDFを熟読して疑問に思ったことは、兵庫県庁の生活衛生課に問い合わせて聞いていますので、他のホームページにはない情報も得られると思います。

 

 

参考までに、「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」の入手方法です。

 

兵庫県ホームページ (hyogo.lg.jp)

      引用:兵庫県ホームページ 2023年11月28日 

 

上記のホームページに入って、以下の手順でページを開いていくと、「飲食店営業の施設基準」のPDFを入手することができます。

 

ホーム → 分類から探す → 食・農林水産 → 食と農 → 食の安全、安心 → 食品衛生法に基づく営業許可申請・営業届け出について → 「営業許可が必要な業種」の表より「飲食店営業許可の飲食店営業の施設基準」(PDF)を開く

 

キッチンカーも固定店舗の飲食店と同じく、食品衛生法や食品衛生法施行令にのっとって営業をしなければなりませんので、PDFにある、営業に共通する基準プラス業種ごとの基準の1-イにある自動車において調理をする場合にあっては・・・という基準のどちらもが適用されることになります。

それでは、具体的に施設基準を見ていきましょう。

 

 

 

飲食店営業に共通する基準より

(キッチンカーにあてはめて)

 

 

1.キッチンカーの構造

  • キッチンカーのキッチン部分は屋外からの汚染を防止できる構造で、衛生的な作業ができること。
  • 必要な設備を配置でき、食品の取扱量に応じた十分な広さがあること。
  • 運転席とキッチン部分は仕切りを設けること。
  • ネズミ、昆虫の侵入を防ぐこと。
  • 料理をする場所の真上は結露しにくい構造にし、結露による汚染防止のため、換気ができるようにすること。
  • 清掃、洗浄、消毒が容易にできる構造にすること(掃除のし易い内壁材を使う等)。

 

 

2.キッチンの設備

  • 必要な明るさの照明器具をつけること。
  • 飲用に適する水を使用し、十分な量を確保すること。
  • 流水式手洗い設備を必要な個数設置すること。水栓は手指の再汚染が防止できるものを使用すること。(現在は準固定施設(後述します)の営業許可を予定していないキッチンカーは、再汚染防止のための水栓でなくてもかまいません。)
  • 冷蔵又は冷凍設備を必要に応じて備えること。
  • ゴミ箱は不浸透性のもので、十分な容量があって、掃除のし易いものを用意すること。
  • 必要な場合には、食器や調理器具を洗浄するための給湯設備を設けること。

 

3.機械器具

  • 調理をするための機械器具や容器、設備は洗浄、保守、点検ができるものであること。
  • 作業に応じた機械器具や設備を備え付けること。
  • 食品や添加物に直接触れる機械器具等は、耐水性材料で作られていて、容易に洗浄でき、消毒が可能なものであること。
  • 固定した機械器具等は、作業に便利で、清掃、洗浄がし易い場所に置くこと。組み立て式のものは分解や清掃がし易く、必要な時には洗浄や消毒ができること。
  • 食品や添加物を運ぶ際には、汚染防止のための専用の容器を使うこと。
  • 冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備えること。
  • 専用の清掃具を用意し、保管場所や清掃方法を掲示すること(他に従業員等がいた場合)。

 

4.簡易な営業の場合

 

(簡易な営業とはーそのままの状態で出す事ができる食品を容器に盛ったり、冷凍食品を加熱するだけなどの簡単な調理のみをする営業の事)

 

  • 食品衛生上支障がないと認められるときは、床面や内壁の材料は不浸透性でなくても良い。
  • キッチン部分に、従業員以外が簡単に立ち入れない構造であれば、仕切りを設ける必要がない。

キッチンカーだけの基準

 (業種ごとの基準より)

 

 

給水・排水タンクの容量と営業の種類

この表が意味するところは、メニューや調理の工程によって、用意しなければならない給水・排水タンクの大きさが変わってくる、ということです。

 

ただ、兵庫県では、具体的にこのメニューと工程なら40リットル、このメニューと工程なら200リットルと例示されていませんので、ご自分のキッチンカーがどの営業にあたるのかわかりづらいですよね。

 

つまるところ、ご自分のキッチンカーがどの営業にあたり、どの程度の給水・排水タンクを用意すべきなのかは、管轄の保健所に出向いて直接聞くしかありません。

 

前回の記事の「どうする?兵庫県でキッチンカーの営業許可申請」でも書きましたが、このことをスムーズに知るためにも、事前相談の時には、メニューや調理工程を書いた紙を持参されることをお勧めしています。

 

 どうする?兵庫県でキッチンカーの営業許可申請 - 行政書士|長尾真由子事務所 (shosinagao.com)

 

200リットルの給水・排水タンクに「準固定施設」が出てきましたね。「飲食店営業に共通する基準より」の3にも、「準固定施設」については後述すると書きました。

 

「準固定施設」とは、兵庫県独自の施設基準だそうです。少なくとも大阪ではこの基準は見受けられません。準固定施設と認められると、兵庫県内では一般飲食店と同様の食品提供が認められます。

 

では、実際にどのようなキッチンカーであれば、「準固定施設」と認められるのでしょうか?

 

「準固定施設」と認められるためには、次の5つの条件全てを備えたキッチンカーにする必要があります。

 

  1. キッチン内は食品を取り扱う量に応じた十分な広さがあり、立ち作業ができること。
  2. 床面、内壁、天井は必要であれば不浸透性(液体が浸透しない性質)材料を使用し、清掃しやすい構造になっていること。
  3. 容量200リットル以上の給水・排水タンクを有すること。給水タンクは2個以内(200リットル1個や100リットル2個など)に収める事。
  4. 流水式手洗い設備の水栓は、洗浄後の手指の再汚染が防止できるもの(センサー式、自動止水式、ハンドルレバーなど)であること。
  5. 食品を10℃以下で保存するために電気冷蔵庫などを設置し、温度が簡単に確認できるように温度計を備えること。(バッテリーによる給電などで、移動中も庫内温度を10℃以下に保つこと)

その他の注意点

 

「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」には書かれていませんが、上記以外にも、仕込み行為や食器の使用についての制限があるようです。

 

また、一次加工所(仕込み場所)が必要になるかどうかということですが、兵庫県生活衛生課の方のお話では、必ずしも必要になるというわけではないそうです。例えば、冷凍食品を温めるだけ、揚げるだけのメニューの場合などは、仕込み場所は必要ないということでした。

 

 

鮮魚介類販売業の場合

 

鮮魚介類販売とは、昔ながらの移動式のお魚屋さんです。これを営業しようとされる方は少ないかもしれませんが、こちらは給水・排水タンクは80リットルで営業できます。ただし、海鮮丼などのメニューは提供できませんので注意してください。海鮮丼を提供したい場合には、200リットルの給水・排水タンクが必要になってきます。

|まとめ

兵庫県でキッチンカーの営業許可を取得するには、兵庫県の「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」に基づてい、キッチン部分を作成していく必要があります。

 

「食品衛生法基準条例に基づく施設基準」には、飲食店営業に共通する基準と、キッチンカーだけの基準があり、このどちらにも合うキッチンカーにしなければなりません。

 

 

「飲食店営業に共通する基準」に書かれていること

 

1.キッチンカーの構造

2.キッチンの設備

3.機械器具

4.簡易な営業の場合

 

 

「キッチンカーだけの基準」に書かれていること

準固定施設とは、兵庫県独自のキッチンカーの施設基準で、準固定施設と認められると、兵庫県内で一般飲食店と同様の食品提供が認められるものです。

最後に、兵庫県でも営業許可申請を行う場合は、必ず事前相談に行って下さい。事前相談は、キッチンカーの車両を購入する前、改造をする前に行きましょう。

 

もちろん、すでに他府県でキッチンカーの営業許可を取得されて、新たに兵庫県で出店しようとされている方はこの限りではありませんが、ご自分のキッチンカーが兵庫県の施設基準に適合してるのか、適合していないのであれば、どうすれば兵庫県の営業許可を取得できるのかを知り、二度手間を無くすためにも、事前相談に行かれることをお勧めします。

 

また、遠方から兵庫県の営業許可を取得されたい場合、何度も保健所に出向くのは大変な作業となります。そのような場合には、キッチンカー専門の行政書士に任せてみてはどうでしょうか?

 

行政書士長尾真由子事務所では、初回30分の相談料は無料です。

しつこい営業等は致しませんので、お気軽にお問合せください。