プロパンガスを使う時に気をつけたい法律

プロパンガスはキッチンカーの営業許可を取得する上では必須ではありません。ですが、火を使わないものだけを販売するのでなければ、熱を発する調理器具は必要になってきます。火を使って、キッチンカー内で調理をする場合、電気かガスを使用することが考えられます。

 

この記事では、ガスの使用について説明していきます。

 

キッチンカーで使用するガスは、液化石油ガス、通称プロパンガスです。都市ガスではありません。容器に保存して、持ち運びそれをガス管や調理器具に繋ぐタイプのものです。

 

プロパンガスは強い火力で長時間調理をする場合に便利ですが、ガスは電気以上に取り扱いに注意が必要となってきます。また、プロパンガスの販売事業者は売って終わりではなく、その後も点検、消費設備の調査、周知、緊急時の対応をしなければなりません。その為、管理下に置くことが難しいキッチンカーやキャンピングカーに、プロパンガスを販売してくれるガス会社や販売店は少ない傾向にあります。

 

この記事では、プロパンガスの調達方法や、取扱時に気をつけなければならないことを法律とからめて説明していきます。

 

|プロパンガスはどこで買える?

まず、プロパンガスはどこで買えるのでしょうか?

 

結論から言うと、ガス会社やガスの販売店(以下:販売事業者)で購入することができます。ただし、始めにもお話したように、販売事業者は、プロパンガスを販売した後も保安業務を義務付けられているので、キッチンカーやキャンピングカーなど、販売後管理下に置くのが難しい相手に、プロパンガスを積極的に販売してくれる事業者はあまり多くはありません。

 

販売事業者の保安業務の義務に関しては以下の法律で規定されています。

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)
(保安業務を行う義務)
第二十七条 液化石油ガス販売事業者は、その販売契約を締結している一般消費者等について次に掲げる業務(以下「保安業務」という。)を行わなければならない。
 供給設備を点検し、その供給設備が第十六条の二第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合しないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその供給設備により液化石油ガスを供給している液化石油ガス販売事業者に通知する業務
 消費設備を調査し、その消費設備が第三十五条の五の経済産業省令で定める技術上の基準に適合しないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知する業務
 液化石油ガスを消費する一般消費者等に対し、液化石油ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項であつて経済産業省令で定めるものを周知させる業務
 液化石油ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該液化石油ガスに係る一般消費者等からその事実を通知され、これに対する措置を講ずることを求められたとき、又は自らその事実を知つたときに、速やかにその措置を講ずる業務

また、「保安業務に係る技術的能力の基準等の細目を定める告示」(第2条 三 ロ)には、保安業務を行う保安機関は、緊急事態が発生した場合は、30分以内に現地に駆け付けなければならない、という「30分ルール」と呼ばれるものが存在します。

 

これは販売事業者にとっても、キッチンカーにとっても大変な規制です。キッチンカーは営業場所によっては販売事業者を変えないといけませんし、販売事業者は店舗から30分以上かかるところには販売をお断りしないといけなくなります。

 

保安業務の義務と30分ルールを嫌気して、プロパンガスの販売を辞めてしまう販売事業者もあります。つまり「プロパンガスを売ってくれる販売事業者がない」、という事態に陥ってしまうかもしれないということなのです。

そこで、昨今のキッチンカーやキャンピングカーの流行もあり、30分ルールが現実的でないということが議論を呼び、令和4年7月15日の「液化石油ガス法 保安業務告示・通達改正」によりこのルールの見直しが行われました。

2022年7月15日
経済産業省

「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」において、保安業務を行うLPガス販売事業者等に対し、保安確保の観点から、緊急時対応として、保安業務に係る一般消費者等の供給設備及び消費設備には原則として30分以内に到着し、バルブの閉止等の所要の措置を行うことができる体制を確保することを求めています(以下「30分ルール」という。)。他方で、この30分ルールによって、LPガス販売事業者が、遠方に向かい30分以内に駆けつけることが困難になることも想定されるキャンピングカー等に搭載されたLPガス容器に充塡ができないといった事態も発生しています。

 本改正は、LPガス容器に充塡されたLPガスを一定量買い切る質量販売により販売されたLPガスを、キャンピングカー、キッチンカー等の屋外において移動して使用される消費設備により消費する一般消費者等の消費設備については、ガス安全に係る一定の知識や技量に関する講習を修了した上で、緊急時に必要な措置を自ら行うことについてLPガスの販売契約を締結したLPガス販売事業者の確認を受けるという代替措置を取る場合に限り、30分ルールの対象から除くものです。
 なお、従来通りの30分以内で使用する場合について、新たに講習の修了等を義務付けたものではございません。

つまり、30分以内に駆け付けれない場所に移動するかもしれないキャンピングカーやキッチンカーには、販売事業者もガスの販売を拒否する事態が発生しているので、一定の条件を満たした者には30分ルールは免除しますよ、ということが書いてあります。

 

一定の条件とは、

  • 緊急時対応に関する講習(質量販売緊急時対応講習)の課程を修了した者
  • 緊急時に所要の措置を自ら行うことについて、液化石油ガス販売事業者の確認を受けた者

 

この場合、講習を受けるのはキッチンカーやキャンピングカーのオーナーなどのガスを買う側です。30分ルールがあってはプロパンガスの購入に支障をきたしそうな人は、講習を受けて終了証をもらい、プロパンガスを購入した販売事業者と「何かあったときには自分で対応します」と約束して下さい、そうすれば30分ルールは適用しませんよ、ということになったのです。また、約束は口約束ではなく書面(電子書面も含む)を取り交わしてください、ということが「保安機関の認定及び保安機関の保安業務規程の認可に係る運用及び解釈について」に書かれています。(以下)

 

 

「緊急時に所要の措置を自ら行うことについて、当該液化石油ガス販 売事業者の確認を受けたもの」とは、例えば、液化石油ガス販売事業者 が当該消費者と販売契約を締結しようとする際に、当該消費者に対する緊急時において消費場所に到着して行う措置を行わないことを、液化石 油ガス販売事業者が書面(電磁的方法によるものを含む。以下同じ。)に より説明をし、当該書面の控えに説明を受け理解した旨記載し、署名等 した者等をいう。

出典:「保安機関の認定及び保安機関の保安業務規程の認可に係る運用及び解釈について」(経済産業省)(tsuutatsu_seitei_shinkyuu.pdf (meti.go.jp) (2023年10月1日に利用)

以上のことが分かりやすい図で説明されていましたので、以下に引用しました。

出典:「キャンピングカー等の30分ルールの見直し」(経済産業省)(gaiyou.pdf (meti.go.jp) )(2023年10月1日に利用)

質量販売の告示等の改正後の実際の運用対するQ&Aが、全国LPガス協会により作成されていましたので、詳しいことが知りたい方はこちらをご覧ください。

 

「質量販売における告示・通達改正に対するQ&Aについて」

 

20230629.pdf (japanlpg.or.jp)

では、この「質量販売緊急時対応講習」はどこで受けられるのでしょうか?

 

なんと、2023年10月1日現在、日本でこの講習を受けられるのは2社しかありません。

出典:「質量販売緊急時対応講習実施者一覧」(経済産業省)(kosyuichiran.pdf (meti.go.jp))(2023年10月1日に利用)

販売事業者によっては、この講習を受講することで、プロパンガスの販売を了解して下さるところもあります。購入を断られた場合には、講習修了をすることで販売してもらえるか聞いてみるのもいいかもしれません。

ただし、この講習を受けたからといって、全てのプロパンガス販売事業者からプロパンガスを購入できるようになるわけではありませんので、ご注意ください。

日本に2社しかないわけですが、どちらの会社の講習もWEBで受けることができます。

以下に申し込み方法を紹介します。

 

まず、東大阪市にあるELG(イーエルジー)株式会社からご紹介します。

申し込みはホームページからできます。

 

まずはこちらのURLからホームページに入ります。

 

ELG(イーエルジー株式会社)-大阪のエネルギーソリューションプロバイダー (elg-inc.jp)

左の画面が出てきます。(2023年9月時点)

 

 

 

 

 

 

 

オレンジの「質量販売緊急時対応講習 受付申し込みはこちら」のボタンをクリックします。

左の画面が出てきますので、

そのまま下にスクロールします。

講習日時が出てきました。場所や申込期間、受講料も一目で見れて分かりやすいですね。

 

画像は2023年10月2日のものです。変更等あるかもしれませんので、最新の情報は必ずURLから入って確認して下さい。

 

ちなみに、講師は社長の米島周作氏がされています。ただし、今後変更の可能性があます。

出典:ELG(イーエルジー)株式会社 (ELG(イーエルジー株式会社)-大阪のエネルギーソリューションプロバイダー (elg-inc.jp)) 2023年10月4日に利用

次に、公益社団法人千葉県LPガス協会の講習の申込方法です。

 

下のURLからホームページに入って下さい。

 

公益社団法人 千葉県LPガス協会 (chibalpg.or.jp)

左の画面が出てきます。

 

そのまま下にスクロールします。

少し見えづらいかもしれませんが、

 

「2023.08.31 お知らせ

質量販売講習案内を掲載しました。」

 

の文字のところをクリックして下さい。

左の画面が出てきます。

 

下にスクロールします。

講習詳細とスケジュールがでてきました。

 

受講料は6,000円です。

出典:公益社団法人 千葉県LPガス協会(公益社団法人 千葉県LPガス協会 (chibalpg.or.jp)) 

2023年10月4日に利用

※注意

修了証は更新制ではありません。5年で失効することになっていますので、5年以内に新たに受講する必要があります。

また、講習は個人のみが対象ですので、法人の社員が講習を受けたとしても、法人名で修了証を取得することはできません。

 

質量販売における告示・通達改正に対するQ&Aについて(202307011536404692.pdf)

(一社)全国LPガス協会より引用 2023年9月9日

|プロパンガスの販売店を探す

質量販売緊急時対応講習はプロパンガスの販売店を探してみてから受けても遅くありあません。

まずは、あなたにプロパンガスを売ってくれる販売事業者を探しましょう。

 

なぜなら、新規でプロパンガスの販売をしてくださる事業者さんはとても少ないからです。

大阪LPガス協会の方のお話では、全くの新規で販売をOKしてくださる販売事業者さんは、10件に1件ぐらいではないかということでした。(統計があるわけではありません、あくまで印象です。)

 

ですので、まずはお付き合いのある販売事業者さんに聞いたり、お知り合いでプロパンガスを購入している人がいないか探してみて下さい。

 

 

|販売事業者を探す方法

 

1.自宅や会社などで契約している販売事業者に聞いてみる。

 

2.知り合いでプロパンガスを購入している人に紹介してもらう。

 

3.ネット検索で出てきたプロパンガス(PLガス)販売店に、購入できるかどうかを直接問い合わせる。

 

4.ELGのLPガス質量販売緊急時対応講習を受講して、ガス店照会サービスを利用する。

 

LPガス(プロパンガス)ボンベ充填・販売エリア/ELG全国LPガス充填ネットワーク (elg-inc.jp)

 

(質量販売緊急時対応講習を行っておられる、ELG(イーエルジー)株式会社が加盟店を募って運営されています。現在ガス店照会サービスは有料(¥1,320)です。ELG株式会社でガスボンベをご購入すると無料です。)

 

5.都道府県LPガス協会のホームページから各都道府県のページに入り、販売店一覧から探す。

 

(都道府県別に協会がありますが、大阪府LPガス協会では、プロパンガス(PLガス)販売事業所の紹介はしていない、とのことでした。兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県では、それぞれのホームページにて販売店の一覧が掲載されています。(2023年9月時点))

 

都道府県LPガス協会 : 協会案内 | 一般社団法人全国LPガス協会 (japanlpg.or.jp)

 

|ガスボンベを購入するかレンタルするか

プロパンガスの販売事業者が見つけたら、ガスボンベを購入もしくはレンタルします。

 

ガスボンベは購入するとやや高価ですので、始めはレンタルの方が良いでしょう。

また、購入したガスボンベに充填するのを嫌がる販売事業者もあります。販売事業者で充填できるわけではなく、充填所にボンベを運んで充填してもらい、また販売店に持って帰ってきてからお客様にガスの入ったボンベをお渡しするという流れになっているため、手間も時間もかかるからです。その点、レンタルのボンベでしたら、充填したボンベを販売店にストックできますので、すぐにお客様にお渡しすることができます。

 

レンタルする場合はガスボンベ本体だけでなく、ガスの圧力を調整する調整器やガスを通すゴムホースも一緒にレンタルしましょう。

料金は下の表にプラス1,500円程度です。

その他、レンタル保証金が必要になる場合もあります。金額としては、1万円ぐらいが相場のようです。

保証金ですので、ボンベと引き換えに返金されます。

※レンタルを行っていない販売事業者もあります。

 

レンタル期間も、2~3日や1週間など販売事業者によって違います。

 

また、文化祭の時期である9月~11月と年末年始のお餅つきの時期は、大量にレンタルガスボンベの需要があるため、例年在庫不足になりがちです。販売事業者さんには、「レンタルの検討をしている」ことを早めに連絡しておきましょう。(できれば2~3カ月前)

購入の場合は、Amazonで見たところ

5kgガスボンベ(調整器、ホース付き)で約15,000円~20,000円

10kgガスボンベ(調整器、ホース付き)で19,000円~23,000円 ぐらいでした。

 

上記は容器のみの値段ですので、容器を買ったら、次は契約した販売事業者にガスを充填してもらいましょう。プロパンガスの料金は販売事業者が自由に決められますので、販売事業者によって違います。おおよその値段は以下の通りですが、先に確実な値段を確認しておきましょう。

 

5kg容器に充填 約2,800円(約560円/kg)

8kg容器に充填 約3,500円(約440円/kg) 

10kg容器に充填 約4,400円(約440円/kg)

 

プロパンガスは多く充填すると、kgあたりの単価が安くなります。

 

 ※注意

プロパンガスのボンベは売って終わりの商品ではありませんので、まずはプロパンガス販売事業者に購入したガスボンベに充填してもらえるかどうかを確認してみましょう。販売事業者によっては管理上の都合により購入したガスボンベへの充填サービスは行っていないところもあります。

ちょっと補足

キッチンカーと販売事業者の責任

 

キッチンカーでプロパンガスを扱う場合、キッチンカーと販売事業者の責任の範囲はどうなっているのでしょうか。

 

まず、キッチンカー側には、ガスボンベからホース、コンロなどの燃焼器に至るまでの維持管理責任があります。

 

販売事業者には保安業務を行う責任があります。(他の保安機関への委託も可)

保安業務は液化石油ガス保安規則に記載されており、1号業務から7号業務があります。(保安業務を行う義務については液石法第27条)

 

具体的には、①供給開始時調査、②容器交換時等供給設備点検、③定期供給設備点検(4年以内に1回)、④定期消費設備調査(4年以内に1回)、⑤周知、⑥緊急時対応、⑦緊急時連絡となります。

(⑥の緊急時対応は、質量販売緊急対応講習の修了証(有効期限内)を持ち、自らが緊急時に必要な対応を行うことに同意した場合には、販売事業者の責任とはなりません。)

 

また、ガスを販売した際には、液化ガス法第14条により、引き渡しの方法や、消費設備の管理方法などを分かりやすく書いた書面(14条書面)を交付することが義務付けられています。

|運ぶ時に気を付けること

プロパンガスを購入出来たら、次に車で貯蔵場所もしくは営業地に運ぶ必要があります。

 

プロパンガスの車での移動に関しては、高圧ガス保安法第二十三条に以下のように定められています。

 

 

 

(移動)
第二十三条 高圧ガスを移動するには、その容器について、経済産業省令で定める保安上必要な措置を講じなければならない。
 車両(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第一項に規定する道路運送車両をいう。)により高圧ガスを移動するには、その積載方法及び移動方法について経済産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
(その他の場合における移動に係る技術上の基準等)
第四十九条 前条に規定する場合以外の場合(液化石油ガスを燃料として使用する車両に固定した容器(当該車両の燃料の用のみに供するものに限る。)による場合を除く。)における法第二十三条第一項の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
 車両に積載して移動するときは、当該車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。ただし、容器の内容積が二十五リットル以下である充填容器等のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。
一の二 一般複合容器であつて当該容器の刻印等に示された年月から十五年を経過したものを、液化石油ガスの移動に使用しないこと。
 充填容器等は、常に温度四十度以下に保つこと。
 突出したバルブのある充填容器等には、固定式プロテクター又はキャップを施すこと。
 充填容器等は、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。
 充填容器等を車両に積載して移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。ただし、容器の内容積が二十五リットル以下である充填容器等のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。
(六 七  はキッチンカーとあまり関係が無いので省略します。)
 液化石油ガスを移動するとき(液化石油ガスの充填容器等を車両に積載して移動するときに限る。)は、前条第十八号の基準を準用する。ただし、容器の内容積が二十五リットル以下である充填容器等(液化石油ガス移動時の注意事項を示したラベルが貼付されているものに限る。)のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。十八 車両に固定した容器により、液化石油ガスを移動するときは、移動中の災害防止のために必要な注意事項を記載した書面を運転者に交付し、移動中携帯させ、これを遵守させること。)

何やら難しいことが色々と書かれている印象ですが、まとめると次のようになります。

 

プロパンガスを車で移動する時には、

  • ガス容器の温度が40度以下になるように保つこと。
  • バルブが突出しているボンベには、固定式プロテクターかキャップを付けること。
  • 容器が落ちたり、転倒したりしないようにすること。→水平な場所に置き、ロープなどで固定する。

同じ文言をピンク字にしていることに気づかれた方もおられるかもしれません。

ピンク字のある法律は、移動するボンベが10kg2本までならば、守る必要がありません。

(10kg2本までとは、20kg1本は認められませんが、5kg4本は認められるということです。)(10kg=24リットル)

 

 

10kg2本以上を移動する場合には守らないといけない法律

  • 見やすいところに警戒標(「高圧ガス」と書かれたプレート)を掲げること。
  • 消火設備(消火器)と災害発生防止のための応急処置に必要な資材、工具等を車内に備えおくこと。
  • 移動中に災害防止のために必要な注意事項を記載した書面を、運転手は携帯し、内容を守ること。

10kg2本以上になるとコストも手間もかかりますので、キッチンカーで使用するのなら、これ以下にするのがお勧めです。

 

※ただし、これは移動する時の目安です。キッチンカー内は室内と考えられていますので、使用する時には8kg以下のガスボンベにする必要があります。「キッチンカーで10kgボンベを使用する」とガス店に言うとほぼ100%断られます。また、10kgボンベでもカップリング付きであれば法律的には使用可能ですが、以下の法律に規定する「カップリング付容器用弁を有する10kgボンベ」を充填してくれる販売事業者の数は、各都道府県に一軒あるかないかという状況になっています。

 

以上のことを考慮すると、キッチンカーで使用するガスボンベは8kg2本以下にするのが現実的です。

 

|使用するときに気をつけること

プロパンガスを使用(消費)する時に守らなければならない法律は以下の通りです。

高圧ガス保安法
第二十四条の五 前三条に定めるものの外、経済産業省令で定める高圧ガスの消費は、消費の場所、数量その他消費の方法について経済産業省令で定める技術上の基準に従ってしなければならない。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則
四十四条法第三十五条の五の経済産業省令で定める消費設備の技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
二号
 内容積が二十リットル以下の容器に係る消費設備、内容積が二十リットルを超え二十五リットル以下の容器であって、カップリング付容器用弁を有するものに係る消費設備(容器が硬質管に接続されている場合を除く。)又は屋外において移動して使用される消費設備は、次に定める基準に適合すること。
(1) 充てん容器等は、第十八条第一号ロからニまでの基準に適合すること。
(2) 調整器は、第十八条第二十号の基準に適合すること。
(3) 燃焼器は、前号ワの基準に適合すること。
(供給設備の技術上の基準)
第十八条 法第十六条の二第一項の経済産業省令で定める供給設備(バルク供給に係るものを除く。以下この条において同じ。)の技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
 貯蔵設備(貯槽であるものを除き、貯蔵能力が千キログラム未満のものに限る。)は、次に定める基準に適合すること。
 充てん容器等(当該容器に取り付けたスカートを含む。)には、湿気、水滴等による腐食を防止する措置を講ずること。
 充てん容器等は、常に温度四十度以下に保つこと。
 充てん容器等(内容積が五リットル以下のものを除く。以下ニにおいて同じ。)には、転落、転倒等による衝撃及びバルブ等の損傷を防止する措置を講ずるとともに、浸水のおそれのある地域においては、充てん容器等が浸水によって流されることを防止する措置を講ずること。
第十八条
二十 調整器は、次に定める基準に適合すること。
 調整器は、使用上支障のある腐食、割れ、ねじのゆるみ等の欠陥がなく、かつ、消費する液化石油ガスに適合したものであること。
 調整器は、次に定める耐圧性能及び気密性能を有するものであること。
(1) 調整器(二段式減圧用二次側のものを除く。)の高圧側の耐圧性能及び気密性能は、二・六メガパスカル以上の圧力で行う耐圧試験及び一・五六メガパスカル以上の圧力で行う気密試験に合格するものであること。
(2) 調整器(二段式減圧用二次側のものに限る。)の高圧側の耐圧性能及び気密性能は、〇・八メガパスカル以上の圧力で行う耐圧試験及び〇・一五メガパスカル以上の圧力で行う気密試験に合格するものであること。
 調整器(二段式減圧用一次側のものを除く。)の調整圧力及び閉そく圧力は、次に定める基準に適合すること。
(1) 調整器(生活の用に供する液化石油ガスに係るものに限る。)の調整圧力は、二・三キロパスカル以上三・三キロパスカル以下であり、かつ、閉そく圧力は、三・五キロパスカル以下であること。
(2) 調整器((1)に規定するものを除く。)の調整圧力及び閉そく圧力は、使用する燃焼器に適合したものであること。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
(基準適合命令)
第三十五条の五 都道府県知事又は指定都市の長は、消費設備が経済産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、その所有者又は占有者に対し、その技術上の基準に適合するように消費設備を修理し、改造し、又は移転すべきことを命ずることができる。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則
(消費設備の技術上の基準)
第四十四条 法第三十五条の五の経済産業省令で定める消費設備の技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
 燃焼器は、消費する液化石油ガスに適合したものであること。

以上は、プロパンガスを使用する時の、容器(ガスボンベ)、調整器(ガスボンベ内の圧力を調整する機器)、燃焼器(ガスコンロ等)の基準について定められた法律です。

 

容器(ガスボンベ)の注意点

  • 容器は湿気、水滴による腐食を妨げる容器にすること。
  • 容器を常に四十度以下に保つこと。
  • 容器が落ちたり、転倒したりしないようにすること。
  • 8kg以下もしくはカップリング付きの10kg以下のガスボンベを使用すること。

 

調整器(ガスボンベ内の圧力を調整する機器)の注意点 

  • 腐食、割れの無いものを使用し、ねじのゆるみ等がないようにすること。
  • 適切な圧力にして使うこと。
  • ガスコンロ等の燃焼器に合った調整器を使用すること。

 

 燃焼器(ガスコンロ等)の注意点 

  • 使用するプロパンガスに合った燃焼器を使用すること。

また、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の44条2号ロには内容積が二十リットル以下の容器に係る消費設備、内容積が二十リットルを超え二十五リットル以下の容器

 

|保管しておく時に気を付けること

高圧ガス保安法
(貯蔵)
第十五条 高圧ガスの貯蔵は、経済産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
一般高圧ガス保安規則
(貯蔵の方法に係る技術上の基準)
第十八条 法第十五条第一項の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
 容器(高圧ガスを燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器を除く。)により貯蔵する場合にあつては、次に掲げる基準に適合すること。
 可燃性ガス又は毒性ガスの充塡容器等により貯蔵する場合は、通風の良い場所ですること。

 

プロパンガスを保管する時には、風通しの良い場所に容器(ガスボンベ)を置きましょう、ということです。

 

キッチンカーで気をつけたいのは、気温の高い夏に、車内にガスボンベを置いたままにしないということです。面倒かもしれませんが、必ず、キッチンカーからボンベを降ろして、倉庫や日陰の風通しの良いところに出しておいて下さい。

 

気温が40度以上になると、ボンベ内の圧力の関係で、仕様上微弱なガス漏れをします。そのガス漏れが長時間にわたり持続し、車内にガスが充満すると、どれほど危険な状態になるかはおわかり頂けるかと思います。

|まとめ

最後までお読み頂きありがとうございます。

 

プロパンガスは購入する時、運ぶ時、使用する時、保管しておく時それぞれに気を付けるべき法律があります。今は、プロパンガスの容器も安全ですので、適切に使用していれば滅多なことはありません。

 

ガスボンベは通常、ヒューズコックやカップリング容器などの安全装置を取り付けて使用します。

 

ヒューズコックもカップリング容器も、ガス器具の接続部分が外れた場合や、ガス漏れが発生した場合に、自動的にガスを遮断してくれます。

 

ただ、万が一ガス漏れが起きて、異臭を感じたら、必ず契約をしているガス販売事業者に連絡をいれましょう。

この記事を書くにあたって法律は、全て以下から引用しています。

 

 

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)2023年9月9日に利用

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