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営業許可申請に必要な設備を知ろう!

キッチンカーの設備 行政書士長尾真由子事務所

キッチンカーの許可申請の手順は以前の記事で説明しました。

まだ読んでいないという方は、この記事と合わせて読んでいただけると、

キッチンカーの営業許可の取り方をより理解していただけると思います。

 

キッチンカーの営業許可|手続きの流れ - 行政書士|長尾真由子事務所 (shosinagao.com)

 

さて今回は、どういうキッチンカーなら営業許可の申請が通るのかというお話を

していきたいと思います。

 

キッチンカーは店舗型の飲食店とは違い、屋外の限られたスペースで営業をしなければなりません。そうなるとどうしても、店舗型より衛生面で気を付けなければならないことや、設備に制約がかかる部分がでてきます。

 

その為、各自治体では設備基準が設けられていて、それに合致したキッチンカーでなければ、営業許可を取得することはできません。

 

では、今回も大阪府の基準を中心に見ていきたいと思います。

|営業許可に必要な構造

まずは、車の基本の構造に要件が設けられていますので、それを確認していきましょう。

 

  1. 運転席と調理場は明確に区切ること。
  2. 調理場は十分な作業スペースを設けること。
  3. 床面、内壁及び天井は清掃、洗浄、消毒が容易な材料を使うこと。

|営業許可に必要な設備

上の表は、令和4年1月1日に大阪府健康医療部生活衛生室食の安全推進課が大阪府のホームページの中で公開している表をもとに作成しました。わかりやすいように少し変更している部分もありますので、ご了承ください。

表だけでは、取り扱えるメニュー等が分かりませんので、分類ごとにできること、できないことを以下にまとめました。

|Ⅲ型、Ⅱ型、Ⅰ型でできる調理方法         と取扱品目

Ⅲ型(基本型)

大量の水を要する調理を行う営業

 

  • 複数の工程からなる調理ができる。
  • 非加熱食品の提供ができる。例)生野菜、生魚、生クリーム等を使用した料理や菓子
  • 通常の食器を使用することができる。
  • 下処理や一次加工を行える。
  • 鮮魚介類の簡易な処理及び生食用の鮮魚介類の調製(注文に応じて調理提供すること)を伴う販売ができる。
  • Ⅰ型、Ⅱ型で可能な行為ができる。

※下処理や一次加工、魚介類の処理や生食用鮮魚介類の調製については、車内の給水量の範囲内で衛生的に行える簡易な行為に限る。→魚の内臓処理など、給水量以上に水を使用するものはできません。

Ⅱ型(80型)

大量の水を要しない調理を行う営業

 

  • 2工程程度の簡易な調理の複数品目を取り扱うことができる。例)焼き飯、オムライス、フルーツ缶のトッピング、直前加熱品を切ってご飯に盛り付ける等
  • 一度加熱した後であれば、冷ましたものでも提供できる。
  • 使い捨て食器のみ使用可能。
  • 同時に取り扱うものを直前加熱品のみに制限するなどすれば、処理を伴わない非包装魚介類の付帯的な販売ができる(車内での下処理及び一次加工はできません)。
  • Ⅰ型で可能な行為ができる。

Ⅰ型(40型)

大量の水を要さず、簡易な調理を行う営業

 

  • 1工程の簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付ける等)で複数品目を取り扱うことができる。例)ラーメン、うどん、たこ焼き、たい焼き、唐揚げ、おでん、かき氷、わらび餅、コーヒー、生ビール等
  • 2工程程度の簡易な調理で1品目を取り扱える。例)冷凍チャーハンの加熱、炊飯、カレーライス、牛丼、ホットドッグ、カフェオレ等
  • 使い捨て食器のみ使用可能。
  • 同時に取り扱うものを直前加熱品の身に制限するなどすれば、処理を伴わない非包装魚介類の付帯的な販売ができる(車内での下処理及び一次加工はできません)。

 基本型を先に書くため、表の順番は逆ですが、要はⅠ型→Ⅱ型→Ⅲ型と進むにつれて、提供できる料理の種類や数が増えるということです。Ⅲ型であればたいていの料理を提供できるのですが、やはりそれだけ多くの設備が必要になってきます。特に要となるのが、給水タンクです。給水タンクの容量で分類されていると言っても過言ではないくらい、こちらは大切な設備になります。

こちらが200ℓの給水タンクの大きさです。Ⅲ型の場合、排水タンクと合わせて、この大きさのタンクが2個必要になります。

 

必要な設備は他にも冷蔵庫や棚、シンクなどがありますから、やはり通常は1トンもしくは1.5トンのトラックが必要となってきます。

 

予算をおさえるために軽トラックでの営業を考えている場合は、Ⅱ型、Ⅰ型でできるメニューを考えてみることも必要になってくるでしょう。

写真参照

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|料理の具体例

上の表と説明で、なんとなくどういう分類になっているのか分かっていただけたかと思います。実際には自分が提供したい料理によって、保健所と協議の上、何型のキッチンカーにするのかは決めることになりますので、この記事だけを見てトラックを買ったりはしないで下さいね。

他の記事でも書いていますが、キッチンカーを始める場合には、まず保健所に連絡をして下さい。その後、保健所と協議の上、どのような設備を用意するのかを決め、車の改造をしていきます。営業許可申請の時だけ保健所に書類を持って行けばいいわけではありません。

 

さて、ここでは何型にするかを料理の具体例で考えてみましょう。

 

分かりやすい例でいうと、「たこ焼き」があります。

たこ焼きは、「大量の水を要さず、簡易な調理を行う営業」にあたりますので、Ⅰ型で出店できます。ですが、注意点として、生のねぎを上に載せて提供することはできません。そうです、生のねぎは生野菜にあたるからです。この場合Ⅲ型のキッチンカーにする必要があります。Ⅰ型で営業をしたい場合は、たこ焼きの中にねぎを入れて焼いて出しましょう。それならば加熱調理になりますのでⅠ型でも大丈夫です。

 

 

次に、キッチンカーの代表的メニューのクレープですが、生クリームを使用しますので、「大量の水を要する調理を行う営業」にあたり、Ⅲ型での出店となります。生クリームを使用しなければⅠ型、Ⅱ型での出店も可能ですが、生クリームの無いクレープ屋さんはちょっと想像できないですよね。それに、保健所でも相談段階で「Ⅰ型、Ⅱ型でどうやってやるんですか?」と言われたりもするそうです。

 

このように、同じ料理でも使用する食品や調理方法、工程によって、キッチンカーの型が変わってきます。つまり、上記の基準はおおまかなものであり、それぞれのキッチンカーによって求められる設備が違ってくるということなのです。

 

何度も言いますが、保健所との協議は絶対に必要です。こういった記事や自治体が公開しているホームページや要綱を読むことも予習としては大切ですが、それだけではキッチンカーの営業許可をとることはできません。

 

もし、そのような予習に費やす時間がもったいない、保健所との協議が煩わしい、効率よく協議を進めたいと思われた方は、ぜひ行政書士長尾真由子事務所にお問い合わせください。初回30分は相談料無料です。