前回、キッチンカーの営業許可を取得する手順をお伝えしましたが、
申請時に必要な書類の中に「食品衛生責任者の資格証明書」が入っていたのに気づかれましたか?
そうなのです、キッチンカーを始めるには、営業許可申請の前に食品衛生責任者の資格を取る必要があるのです。
これは、食品衛生法に定められており、必ずとっておかなければなりません。
ですが、調理師、栄養士、製菓衛生士、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士の資格をお持ちの方や、食品衛生管理者、食品衛生監視員になることができる資格をお持ちの方は、改めて食品衛生責任者の資格を取る必要はありません。
もともと飲食店を経営していたような方であれば、お持ちの方も多いと思いますので、申請時には資格証明書をコピーして提出すればよいということになります。
その場合でも、経営者が店舗の食品衛生責任者である場合は、基本的には他の誰かに食品衛生責任者になってもらう必要があります。
一人の食品衛生責任者が、複数の施設を兼任することは普通は認められないことが多いからです。
また、キッチンカーが複数の場合も、複数の食品衛生責任者が必要となる場合があります。
複数施設を営業する場合は、営業許可を申請する保健所に必ず確認してください。条件が合えば、一人の食品衛生責任者が複数の施設を兼務することができるかもしれません。
|食品衛生責任者のなり方
キッチンカー開業を決めた時点で、食品衛生責任者の資格をお持ちでなくても、取り方自体は難しいものではないので安心してください。食品衛生の講習を受けるだけで資格を取得することができます。
大阪府では「公益社団法人 大阪食品衛生協会」が講習会を実施しています。
講習会は教室形式とe-ラーニング形式の二つの形式が用意されていて、どちらの受講も可能です。また、どちらもインターネットから申し込むことができます。
近くの都道府県ですと、兵庫県では「一般社団法人兵庫食品衛生協会」、「一般社団法人神戸市食品衛生協会」が、京都府では「公益社団法人 京都府食品衛生協会」、「一般社団法人 京都市食品衛生協会」がそれぞれ講習会を開いています。どちらの講習会も教室形式とe-ラーニング形式があります。
では、食品衛生協会が二つある都道府県では、どちらで受講すればよいのでしょうか。基本的に教室形式の場合は、どこででも講習会を受講できます。例えば、大阪府で飲食店を経営していたとしても、教室形式であれば、神戸市食品衛生協会でも講習会を受けることができます。
ただし、いずれの食品衛生協会でも、e-ラーニング形式の受講資格には制限があります。
受講資格の要件は、どこに経営する店舗があるか、勤め先店舗があるかということになります。神戸市に店舗があるという方は「神戸市食品衛生協会」で受講できますが、それ以外の兵庫県内の地域に店舗があるという方でe-ラーニング形式を申し込みたい方は、「兵庫県食品衛生協会」に申し込みをすることになります。
京都府と京都市の食品衛生協会も同じような制限を設けています。
では、キッチンカーのように店舗に住所がない場合で、eーラーニング形式を受講したい場合はどうすればよいのでしょうか?この場合は営業場所の食品衛生協会に申し込むほうが良いようです。
例えば、自分は京都市に住んでいるけれど、大阪府で営業をしたい場合を考えてみましょう。この場合、京都市のeーラーニングに申し込むか、大阪府のe-ラーニングに申し込むか、迷われることと思います。結論を言うと大阪府のe-ラーニングに申し込む方がベターということになります。営業許可も大阪で取得しないといけませんので、後々、何かと都合が良いでしょう。
少し、ややこしくなってきましたね。
キッチンカーを始めるときには、まず、どこで営業をするのかを決定する必要があります。その上で、営業場所の保健所に電話をかけ、相談に足を運びます。申請はキッチンカーを用意してからになりますので、その間に講習を受けることになるでしょう。講習を受ける前に保健所と協議、つまり保健所の職員の方と話をする機会がありますので、どこで受けて良いか分からない場合は、申請をする予定の保健所の職員の方に聞くのが一番良い方法と言えるでしょう。
ちょっと補足
大阪府は食品衛生協会は一つしかありませんが、兵庫県は兵庫県と神戸市の二つの食品衛生協会がありますし、京都府も京都府と京都市の二つの食品衛生協会があります。
兵庫県も京都府も日本食品衛生協会に属している団体で、システムもそちらのシステムを使用しています。それに対して、大阪の食品衛生協会は日本食品衛生協会に属しておらず、独自のシステムを持っています。ですので、大阪府とほかの都道府県では、食品衛生責任者の講習会のシステムが若干異なっています。
例えば、日本食品衛生協会のシステムですと、e-ラーニングの受講可能期間はログインしてから30日となっています。それに対して、大阪府食品衛生協会では受講月が決められており、その月内に受講をしなければなりません。ですので、8月1日に申し込んだ人と、8月15日に申し込んだ人とでは受講可能期間が変わってきます。その為だと思いますが、申し込み期限が設定されていて、2023年8月分では、申し込み期限は8月15日となっています。8月30日に申し込めたとしたら2日しか受講できませんものね。
授業時間は6時間なので、見れなくはないですが、何回かに分けて受講できるのがe-ラーニングの良さですので、あまり意味がなくなってしまうかもしれません。
|大阪府の場合
大阪府内(大阪市も含む)でキッチンカーを営業する場合、基本的に「大阪食品衛生協会」に食品衛生責任者講習会を申し込みます。
|申し込み方法
申し込み方法にはホームページから申し込む方法と、郵送で申し込む方法があります。
まずは、ホームページから申し込む方法について説明します。
大阪府食品衛生協会のホームページ↓
上記のホームページに入ります。
少し下にスクロールすると、
1~8の番号がふられた青いボタンが並んでいます。
その中の1番が食品衛生責任者となっていますので、
そこをクリックします。
次のページも少し下にスクロールしてください。まずは教室形式の申込画面が出てきます。eーラーニング形式で申し込みたい場合はその下になります。
教室形式の講習会は月に4回ほど開催されているようです。先に受講可能日や受講場所を知りたいという場合は、step2の新規申し込み(受講日選択)をクリックすれば見ることができます。
教室型の場合は席数に限りがありますので、開催日が近い講習会から席がうまっていくことが多いです。講習会一覧の一番右の欄に、残席数が〇、✕で表示されています。開催日の近い講習会は✕になっていることが多いのですが、なぜか2023年10月は26日がうまっていますね。(左は2023年9月28日に撮影したものです。)
以前、2023年7月28日に大阪食品衛生協会の教室形式の講習会を見てみたところ、一番早くて8月29日の講習会のみ予約可能でした。7月28日に申し込んだとしたら1か月後ですね。
その後に、営業許可の申請をして、不備等が無く約2週間後に許可がおりるとしても、開業は早くて9月半ばということになってきます。
いずれにせよ、開業日なども見据えて、余裕をもって申し込みをされることをお勧めします。
大阪食品衛生協会のHPは随時更新されています。必ず最新の情報を確認して下さい。
eーラーニング形式を受講されるのであれば、席数の問題はありません。最近はeーラーニング形式を受講される方が増えていますが、パソコンをお持ちでなかったり、操作に不安がある方は教室形式を選ばれるようです。(スマートフォンでも視聴可能ですが、画面が小さいので見づらいかもしれません。)
パソコンやスマートフォン操作に不安があって、eーラーニング形式を選べないという方は、どうぞ行政書士長尾真由子事務所にご相談ください。操作のサポートをさせていただきます。(パソコンやスマートフォンはご自分のものをご用意願います。)
次に、郵送で申し込む場合ですが、申込書は各保健所に置いてあります。
下記から印刷することもできます。また、必要事項を手持ちの用紙に記入して送っても受け付けてもらえます。
:https://www.ofha.or.jp/wps/wp-content/uploads/2022/08/20220825_youseikoushuuri-furetto.pdf
郵送申し込みには何点か注意点があります。
まず、事務手数料として500円が別に必要となります。
それと、支払い用紙が郵便で届くのですが、支払期限を過ぎると受講が取り消されてしまうので気を付けてください。
また、受講日を選ぶことができません。協会が受講日を指定してきますので、都合が悪い場合は、電話で変更を申し出なければなりません。
こうやって見ると、郵送申し込みは時間もお金もかかりますね。インターネット申し込みの方が使い勝手が良いことが分かっていただけるかと思います。
|料金
気になる講習会の料金ですが、大阪の場合は10500円(税込み)です。
支払方法は、インターネット申し込みの場合、基本的に申し込みと同時にクレジットカードなどで支払います。(詳しくは大阪食品衛生協会のホームページをご覧ください。)郵送申し込みの場合のみ、支払い用紙が送られてきますので、コンビニで支払います。
|受講時間
受講時間は教室形式でもeーラーニング形式でも6時間です。
教室形式の場合、お昼休憩の45分を挟みますので、その分拘束時間は長くなります。
外に出ることもできますが、昼からの講座への遅刻は厳禁ですので、昼食を用意してい行った方が無難ですね。
授業の最後に簡単な〇✕形式の確認テストがあります。大阪食品衛生協会に電話で問い合わせたところ、このテストは授業をきちんと聞いていたかどうかの確認をするためのもので、合否判定には関わらないということでした。
教室形式の場合は、1回で受講する必要がありますが、
eーラーニング形式の場合は、最大12回に分けて受講できます。
動画は12個からなり、一つの動画は40~50分程度です。
ただ、一つの動画から途中でログアウトすると、また始めから見直さないといけません。今日は動画を見ると決めたら、最低でも1時間は勉強時間は確保しておきたいところです。いつでも良いとなるとつい先延ばしにしてしまいそうな方は、教室形式を選ばれるのも一つの方法かと思います。
また、eーラーニング形式の場合、ちゃんと動画を見ているかどうかのチェックがあり、そのチェックに合格しないと次の動画に移れないようになっているそうです。動画だからといって流しっぱなしではだめということですね。
|修了証書
講習会が終了したら、晴れて修了証書が手に入ります。
教室形式の場合は、基本的に受講日当日に全員に渡されます。
また、パソコンなどからダウンロードすることもできます。
どちらかを保健所の提出書類にしてもいいですね。
eーラーニング形式では、視聴修了日が月の前半なのか後半なのかによって
終了証所発行日が分かれています。
その月の前半に視聴が終わった方は、その月の中頃に修了証書が発行されます。
後半に終えると次の月の初めが修了証書の発行日になります(何月に受講するかによって違います)。
確実な日にちは何月に受講したかによります。確実な日にちはstep1の日程確認から知ることができます。
ここでもタイムラグが出てしまう可能性がありますので、開業日が決まっている方は注意が必要です。
例えば、8月のeーラーニング形式に申し込んだとします。
5日に見終わったとしても修了証書が発行されるのは8月の中頃になります。
すぐに保健所に営業許可申請をして、何事もなく許可を取得できたとしても、
開業は9月始めということになってきます。
まとめ
いかがでしたか?
食品衛生責任者の資格を取得すること、それ自体は講習会に参加すればよいだけですので、それほど大変ではありません。
ただ、事業計画を見据えながら受講日を決めたり、タイムスケジュールを組んだりする必要があります。
また、この資格がないとキッチンカーの営業許可そのものがおりませんので、
大変重要な資格となってきます。
もし、事業計画やタイムスケジュールでお困りの場合は、ぜひ行政書士長尾真由子事務所にご相談ください。初回相談料30分まで無料です。また営業許可申請をご依頼いただいた場合は、30分を超えても相談料は無料とさせていただきます。