キッチンカーを開業しようとしたとき、まず何から始めればよいのでしょうか?
車の購入?仕入れ先の確保?それとも販売場所を探す?
どれも大切なことですが、車の購入はちょっと待った!
その前にしなければならないことがあります。
それは、営業場所を管轄する保健所に事前に相談に行くことです。
えっ、まだ車も決めていないのに相談に行っていいの?
と思われるかもしれませんが、逆に車を買ってからでは遅い!のです。
車は仮予約をしておくにとどめましょう。
また、保健所に相談に行く前に改造に着手することも絶対にやめておきましょう。
そもそも、キッチンカーで販売できないものを販売しようとしている可能性もあります。そうなると絶対に営業許可はおりません。改造も始めからやり直しということになれば、多額の費用が無駄になってしまいます。
そうならないためにも、事前に相談に行くことはとても大切な仕事になってきます。
令和3年6月1日の改正食品衛生法により、全国的に施設基準が統一されましたが、細かなところでは未だローカルルールも残っています。
保健所に相談せずに許可基準に合うキッチンカーを制作することはほぼ不可能でしょう。
昨今ではお役所の方も親切に対応してくださるので、安心して相談に行っていただければと思います。
以下に許可申請に関する開業の流れを簡単な図にしてみました。
※私は大阪府の行政書士ですので、基本的に大阪府の開業について説明していきます。
他府県では異なる場合もありますので、他府県の方は参考までに見ていただくか、
各自治体の保健所にお問い合わせください。
キッチンカー営業許可|手続きの流れ
|保健所に事前に相談に行く
相談に行く保健所は、営業しようと考えている地域を管轄している保健所になります。お住いのお近くの保健所ではないので注意してください。
また、都道府県をまたいだり、管轄が分かれる場所で営業をする場合には、それぞれの保健所で許可を受ける必要があります。
まずは、営業場所を管轄する保健所にお電話で問い合わせをしてみて下さい。
※大阪府内で営業をする場合
基地施設が大阪府内にある時は、基地施設を管轄する自治体に申請します。
基地施設とは一次加工所(仕込み場)または自動車保管場所のことです。
基地施設を管轄する保健所が分からない場合は、下記のサイトを見ていただくか、
本庁に電話で問い合わせをすることでも教えてもらえます。
大阪府/自動車及び露店による営業の取扱いについて (osaka.lg.jp)
また、事前相談の時に、申請書類一式をもらっておくようにしましょう。
あとで、ホームページから取得することもできますが、必要な書類のみを渡してもらえるので、時間の節約にもなります。渡された書類を見て、質問があればその時に聞くこともできます。
ちょっと補足
令和4年1月1日より、大阪府内のいずれかの自治体で、令和3年6月1日以降の営業許可を取得したキッチンカーは、大阪全域で営業できるようになりました。
では、大阪府内であればどの保健所で許可申請を行ってもよいのでしょうか?
実はそんなことはなく、「大阪府自動車による食品営業取扱要綱」では次のように規定されています。
(営業許可の申請) 第7条 府内(保健所設置市の区域を除く。以下同じ。)で自動車営業を営もうとする者(次条第 2項の規定により営業を営もうとする者を除く。)は、営業許可申請書・営業届出書(新規・継 続)(大阪府食品衛生法施行細則(昭和27年大阪府規則第40号)様式第8号)により基地施設 を管轄する保健所長に申請しなければならない。ただし、府内に基地施設がない場合は、主た る営業地を管轄する保健所長に申請すること。
大阪府自動車による食品営業取扱要綱はこちら↓
k_0000-0153_4.pdf (osaka.lg.jp)
基地施設とは、キッチンカーを止めている駐車場、一次加工施設(仕込み場所)、倉庫、事務所などを指します。
この府内には政令指定都市や中核市も含まれます。
府外とは他の都道府県のことです。
例えば、堺市に基地施設がある場合は、基本的に堺市に営業許可の申請をします。
更に営業地の拡大を考えて、神戸市に出店したい場合は、神戸市に申請をして下さい。
他の都道府県に申請する場合は、基地施設は関係ありません。営業地の自治体に申請を行って下さい。
|設備(キッチンカー)を用意し 申請書類を作成する
保健所での相談が終わったら、車を用意し、保健所の指示に従って改造していきます。
もちろん、保健所の指示通り、もしくはそれに近い中古車があればそちらを購入する手もあります。
これは、個人的な意見になりますが、初めてキッチンカーを開業するのであれば、できるでけ小さく始めた方が良いと思います。ですので、とにかく安くすむ方法を考えられることをお勧めします。
キッチンカーで一番お金がかかるのが、この車の購入と改造です。
たとえ、中古車で良い物件があったとしても、高価な場合は考えなおしてみましょう。
次に書類の作成ですが、R3年6月1日の法改正により申請書の形式などは統一されましたが、必要書類は自治体によって違うものもありますので、これも保健所に相談に行った際に確認しておくと良いでしょう。
その場で、様式のあるものは一式もらっておくのがお勧めです。
大阪府での申請時に必要な書類は次の通りです。
- 営業許可申請書 1部
- 自動車営業設備の概要 2部
- 一次加工が必要な場合は、加工施設の許可証の写し 2部
- 車内設備平面図 2部
- 食品衛生責任者の資格証明書(コピーで可)
- 法人申請の場合は、履歴書事項全部証明書(コピーで可)
- 車検査証の写し 2部
- 露店・自動車による営業に係る確認票 1部
必要書類の詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
|保健所で車の検査を受け 手数料を支払う
提出書類と車(設備)を持ち込んで検査を受けます。この時に手数料を支払います。
新規申請の場合、大阪府では1万6千円かかります。
他府県では金額が違うところもありますので注意してください。
また、この申請と検査を代理人に頼むこともできます。
その場合には申請書の担当者の欄に代理人の名前を記入します。
東京都では必ず営業者の立ち合いが必要になってきますので、
この部分に関しては大阪府は寛容ですね。
例えば、土日祝お休みのサラリーマンの方が、副業でキッチンカーを始めようとされた場合、なかなか平日に保健所に行くのは難しいですよね。
そんな時に代理をお願いできるのはありがたいと思います。
ただ、大切なキッチンカーの申請ですので、できればご自分で行かれることをお勧めします。何か不備があったときにもすぐに対応できますし、それ以上に申請が通った時の喜びは大きいですので、ぜひ経験していただければと思います。
|許可証の交付を受ける
保健所で申請して不備がなければ、おおよそ2週間で保健所にて営業許可証を受け取ることができます。その場合は認め印を持参しましょう。郵送で送って欲しい場合には、申請時にレターパックプラスに必要事項を記入して持っていく必要があります。
|開業
さあ、これで晴れて開業ですね。
実際は開業日に合わせて、保健所と協議し申請日を決めていきます。
大阪府ではおおよそ2週間ということですが、同じ大阪府内でも2週間以上かかると明記している自治体もありますので、この辺りも保健所の担当者と打ち合わせておきましょう。また、不備があった場合に備えて、余裕をもって申請日と開業日の間に時間を設定しておくことをお勧めします。
郵送の場合も、窓口交付よりも時間がかかることを見積もっておいた方がよいでしょう。ただ、レターパックプラスは普通郵便よりも早く到着するので、そこまで日数はかかりません。心配な方は下記のサイトより、配達にかかる日数を確認できます。
お届け日数を調べる | 日本郵便株式会社 (japanpost.jp)
|まとめ
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
おおまかに大阪府でのキッチンカーの営業許可申請の流れを書いてみました。
だいたいの流れは分かっていただけましたでしょうか?
大切なことは、事前に保健所に相談に行くということです。
それがないと何も始まりません。
また、さらにその前段階として、保健所に電話をしておきましょう。
相談もいきなり行くのではなく、予約が必要となる場合があります。
行く前に考えておくべきことも電話で教えてもらえます。
豊中市保健所のホームページでは、相談前の準備として、
取扱食品や営業形態に問題がないか自己チェックをするように書かれています。
また、相談時には図面等を持参しないといけないようです。
豊中市のホームページには、キッチンカーの営業許可についてかなり詳しく書かれていますので、大阪府でキッチンカーを開業したい方は参考にしてみてください。
豊中市のキッチンカーの営業許可に関するPDFはこちら↓
R5.4jidousya-setumei.pdf (city.toyonaka.osaka.jp)
実際にキッチンカーを開業しようすると、申請以外にも考えなければならないこと、やらなければならないことがたくさんあります。時間はいくらあっても足りません。スケジュールを立てる際には申請の流れを知って、いつ何をするのかをしっかり計画に組み込んでいきましょう。
もし、一人ではできそうにない、もしくは誰かのサポートがあると心強いと思われる方は、ぜひ行政書士長尾真由子事務所にご相談ください。初回相談30分は無料です。
あなたの夢のキッチンカーを一緒に実現させていきましょう!